アトリエハーロー情報

かつて雑司が谷にあった木村晴夫氏のホルン工房「アトリエハーロー」。
多くの顧客からの製作代金を返還せず、預かり楽器を紛失・
質入したことが判明しました。

アトリエハーロー 木村氏について

当Webサイトや管理人のブログに、かつて雑司が谷でホルン製作・リペア工房「アトリエハーロー」を営んでいた木村晴夫氏の情報を求めてたどり着く方が多くなりました。私も彼の動きや顧客の被害状況について調査を進めていましたが、2010年8月、事実の判明と大きな動きがありましたので情報公開を行います。また、以下の掲示板も情報交換にご利用下さい。

■アトリエハーロー被害者掲示板■

ホルンの森・管理人は、数年前から木村氏にメンテナンスのために所有する楽器を預け、また木村氏の個人的な「計測」のために要請されて楽器を貸与していました。しかし昨年、私が楽器を使うために預けている楽器の返還を求めたところ、木村氏はそれに応じませんでした。そして、いつの間にか雑司が谷の工房は撤収され、ついには連絡がつかない状態となってしまいました。最初は返信があった携帯電話も、2010年5月からは電源が切られた状態となり、所在も分からなくなっていました。

「これはおかしい」と思った私が独自に調査を開始したところ、各地には楽器製作依頼のために代金を振り込んだまま音信不通となった方、メンテナンス・修理のためにホルンを預けて代金を支払ったまま連絡がつかなくなった方、多数の方々がいらっしゃることが分かりました。その人数は少なくとも50人以上、もしかすると100人を超える人数に上ります。また被害額も預けたまま戻ってこない楽器、ウィンナホルンやディスカントホルンの製作代金の先払い分を合計すると、軽く3000万円以上になることが分かりました。

こうしたなか、2010年8月、木村氏が顧客の預かり楽器20本以上を池袋の質屋に質草として預けていることが判明しました。質入品は利息の不払いで質流れ期日直前であったため、私を含む被害者数人で管轄の警察署へ相談に行き、保管命令を出して頂きました。その後、私はそれぞれの楽器の所有者を調査、全てを割り出して連絡し、それぞれの方々が独自に質屋より買い戻しを行いました。私も買い戻しました(横領事件では質屋に対して無償返還を求めることはできません)。木村氏が質屋から受け取った質入代金がどこへ消えたかは全く分かりません。今後の捜査進展を期待するのみです。木村氏本人の供述は嘘を嘘で塗り固めたものであり、全く信用できるものではありませんでした。

なお木村氏は質屋に2006年から出入りしていたことが確認できており、その間に預かった修理品は質屋に質草として預け入れられていた可能性があると考えられます。その行動の真意は不明です。なお、今回判明した質屋において、木村氏が質入した楽器で質流れになった楽器は一つもありません。ただし、そのほかの質屋への預け状況については確認できていません。

今回みられた事例は次の通りです。

・修理のためにアレキサンダーを預けたが代金を前払いさせられた。
・いつまでたっても連絡がなく、しびれを切らして返還を強く求めたら預けた状態のまま(修理されず)返還された。
・「計測のため貸して欲しい」と言われて預けたら連絡が付かなくなった。
・ウィンナホルンの製作代金を前払いで振り込んだら連絡が付かなくなった。    (ほか多数)

質入されていた楽器の他の大量の預かり品や製作機材などは、木村氏が墨田区八広のレンタル倉庫に預けていたことが分かりました。しかしそちらについては、残念ながら木村氏が料金を滞納してから1年以上が経過しており、保管されていた楽器類は2009年前半に全て処分されてしまったことが分かっています。これはレンタル倉庫への電話で判明したものです。木村氏が再三再四の返還要請に応じず逃げていた理由は「無くなってしまい、もはや返せなかった」ということだったようです。

また、ウィンナホルン、ナチュラルホルンの製作機材については、一連の夜逃げ同然の工房「移転」、保管時の紛失、質入などを通じた流れで、もはや工房を再開するための機材は残されていません。今回の横領事件で木村氏への信用は地に落ちたため、製作環境の再構築も困難です。そのため、木村氏が再び楽器製作を行うことができる可能性はないと言ってもよいでしょう。

アトリエハーローで作られた楽器は数百本に上り、ウィンナホルンはシュトランスキーがR.シュトラウスの協奏曲の録音に使ったり、現地でのコンチェルトシュトゥックにハーロー製F-HochFディスカントダブルを使ったことがあります。また、ニューイヤーコンサートではアトリエハーロー製ベルを載せたトランペットをW.ジンガー氏が使い、放映でアップになって話題になったこともあります。このように、かつては一世を風靡した国内最後の金管楽器工房が、このような結末に至ったことは心の底から悲しく思い、また残念かつ腹立たしく思います。こうなる前に何とかできなかったのか、しばしば後悔の念を抱いています。

本件は2010年8月2日から横領事件として捜査が開始され、2012年7月21日、ついに木村氏は逮捕されました。各地の被害者の方々がそれぞれ木村氏の行為に対して最寄の警察などに対して何らかの行動を起こすべきです。

具体的には、

  被害者の方々は、今すぐに地元の警察に相談し、被害届けなどを提出して下さい。

被害届を出すには、まず居住地域を管轄する警察署へ相談します。あらかじめ、いつ、どこで、誰が、何を、どのようにといった5W1Hをしっかりまとめ、それを裏付ける証拠となる資料を集めましょう。専門家ではないので詳細は分かりませんが、詐欺または業務上横領に該当する可能性があります。被害者の方々が行動を起こせば、何らかの事態解決の糸口になる可能性があります。しかし、諦めてしまってはその可能性すらゼロのままです。木村氏は既に詐欺被疑者・横領被疑者です。我々被害者は一致団結し、一歩も引かずに対応することが大切です。

■参考:詐欺被害の被害届の出し方(他サイトへのリンク)

木村氏に対しては、内容証明郵便を送ったり、損害賠償請求、慰謝料請求など民事訴訟を起こすことができると考えられます。木村氏本人に支払能力はもはやありませんが、被害者の皆さん一人一人の行動が、木村氏の犯した犯罪を明らかにするための一歩となります。

なお、木村氏本人の居場所や連絡先、また警察の捜査状況などについては、仮に把握できていてもお答えできないことがありますので、あらかじめご了承下さい。いずれ、「被害者の会」としての会合を開催することも考えていますので、専用掲示板に書き込んだり、日常的にチェックしておいてください。

【2010年8月17日】
ホルンの森 管理人

【2010年8月25日】
一部追記

【2010年11月17日】 
本件について管轄署による捜査が始まりました。管理人は全面的に捜査に協力しており、証拠品の提出や調書の作成、新大久保の受け渡し現場確認を進めています。

【2012年6月21日】
木村氏を詐欺罪で逮捕したとの連絡が入りました。今後は起訴、判決という流れになっていくと思われます。 

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