〜大切な楽器をダメージから守りましょう〜
2006年1月開設 最終更新:2009年2月14日
ホルンを持ち運ぶにはケースが必要です。ケースといっても、大きく頑丈な「ハードケース」、コンパクトな「セミハードケース」、軽量な「ソフトケース」があります。用途に合わせたケースを使わないと、楽器に思わぬダメージを与えてしまうこともありますから、注意が必要です。楽器に合っていないケースに入れておくと、楽器がどんどん歪んでいってしまうこともあります。自分の楽器に合った、正しいケースを選んで使い、楽器を大切に守りましょう。
ホルンは他の楽器と異なり、
・ワンピース(ボディとベルが一体型)
・ベルカット(デタッチャブル・ベル。ボディとベルが分離できる)
という区別があります。 ベルカットのモデルはワンピースのモデルのケースに入りますが、逆は不可能です。ただし、ベルカットのモデルの最大のメリットは、収納がコンパクトで持ち運びしやすいことなので、ワンピースのモデル用のケースに入れていたのでは、本末転倒といえるかもしれません。
また、ベルの着脱の可否とは別に、ケースの構造によって
・角ばっていて頑丈な「ハード・ケース」
・軽量・コンパクトな「セミハード・ケース」
・柔らかく軽量な「ソフト・ケース」
があります。
分類 |
ワンピース・モデル用 |
ベルカット・モデル用 |
ハードケース | 形状:ホルンの形 大きさ:大きい。凹凸があり、かさばる。 重量:とても重い。 その他:― メリット:頑丈。安心。 デメリット:重い。 |
形状:直方体。 大きさ:大きい。 重量:とてもとても重い。 その他:― メリット:頑丈。安心。出し入れが簡単。 デメリット:重い。 |
セミハードケース | 形状:ホルンの形 大きさ:大きい。凹凸があり、かさばる。 重量:重め。 その他:実はハードと変わらないんじゃ…。 メリット:持ちやすい(重要)。 デメリット:ちょっと重い。ハードより重いことも…。 |
形状:。おにぎり形。 大きさ:小型〜中型。比較的コンパクト 重量:比較的軽量。 その他:小道具の収納に優れるものが多い。 メリット:軽い。丈夫。種類が多い。 デメリット:特になし。 |
ソフトケース | 形状:ホルンの形 大きさ:大きい。凹凸があり、かさばる。 重量:軽い。 その他:身体より心が疲れる。 メリット:軽い。 デメリット:マウスパイプとベルが危険危険! |
形状:おにぎり形。 大きさ:小型。 重量:非常に軽い。 その他: メリット:軽い。安い。 デメリット:何かあったら一瞬で…。 |
それぞれにメリット・デメリットがあります。特に注意したいのがソフトケースで、混雑した車内などでちょっとぶつけただけで凹みが出来てしまったり、最悪の場合は楽器そのものが大きく歪んでしまうことがあります。常に車で移動というのでなければ、ソフトケースの使用は避けたほうがよいでしょう。車で運ぶときも、ケースを出し入れ時にぶつけてしまうことがありますから、ソフトケースではそうした時にも楽器に凹みを作ってしまうことがあります。ですから、自分の利用形態をよく考えて、楽器との相性も踏まえてじっくり選んでみてください。
以下では世界各地のホルンケースメーカーの製品を紹介していきます。
ブラジルのホルン奏者であるマーカス・ボナ氏が考案したセミハードケース。プロ・アマを問わず世界のホルン奏者に使われています。MB-1というモデルが、ギャラックスのウルトラケースのコピー基になっている製品です。サイズはそれぞれS、M、Lがあり、国内に定期的に入荷していくるのはMサイズだけです。他のサイズは受注生産となっており、納期は半年程度とのことです。価格や詳細は、国内各販売店にお問い合わせ下さい。(参考:ヤマハミュージックトレーディング)
■model MB-1
【材質】 カーボン
【大きさ】 小型。ギャラックスより少し大きめ。
【重量】 計測中。
【持ち運び】 リュック形式、手提げ、ショルダー(肩掛け)。
ギャラックスのウルトラケースのコピー元となったケースです。意外とユーザー数は多くないように思います。コンパクトかつ強度も十分で、使いやすいケースです。写真のケースは一世代前のモデルとみられます。最新型はベルケースが別パーツになっており、上半分の「フタ」で固定する形です。外見、内部のクッション厚などはほとんど変わりません。
■model MB-5
【材質】 カーボン
【大きさ】 中型だが比較的スリム。
【重量】 3.2kg(ホイヤーを入れて5.8kg)
【持ち運び】 縦置き、リュック形式、手提げも可能。ショルダー(肩掛け)は無し。
↑当サイト管理者所有。入っているのはHans Hoyer 4801。
↑猫屋敷の主様所有。入っているのはAlexander 310MB。
MBのかつてのフライトケース。航空機に手荷物として持ち込み、キャビンに入れることができるようにコンパクトにできているケースです。現在は手荷物持込サイズが変更になったため、持ち込めない航空機が増えているようです。事前の確認をおすすめします。
小物入れが豊富で、ミュート、譜面台、マウスピースをはじめ小物の格納が充実しています。人によってはミュートと譜面台の代わりにステージ用の靴を1足入れるケースもあるとのこと。楽譜は背中側に入りますが厚さにして2mm〜3mm程度に抑えた方が良いでしょう。付属のマニュアルにも「あまりたくさん入れるな」と書いてあります。
■model MB-5 st
【材質】 カーボン
【大きさ】 中型だが比較的スリム。
【重量】 3.2kg (+Alexander 103:2.6kg)
【持ち運び】 縦置き、リュック形式、手提げも可能。
MBのフライトケース。航空機に手荷物として持ち込み、キャビンに入れることができるようにコンパクトにできているケースです。小物入れが豊富で、ミュート、譜面台、マウスピースをはじめ小物の格納が充実しています。通常のMB-5よりもコンパクトにできています。
■model MB-6(定価:\81,900)
【材質】 カーボン
【大きさ】 中型〜大型。
【重量】 計測中。ちょっと重め。
【持ち運び】 縦置き、リュック形式、手提げも可能。ショルダー(肩掛け)。
↑NUKIHOUSEの小貫さん所有。銀座ヤマハにて購入。
MBのフライトケース。航空機に手荷物として持ち込み、キャビンに入れることができるようにコンパクトにできているケースです。MB-5よりひと回り大きい分、各種小物入れスペースはさらに充実。かなり大型の楽器でもしっかり固定できます。価格はMB-5と変わらないので、用途などによって選ぶとよいと思います。
■Natural horn case (with detachable compartment for crooks)
取り外し可能なボーゲン用ケース付き、ナチュラルホルン用ケース
【材質】 黒色ナイロン生地セミハードケース。クルークケースはファスナーで脱着可能。
【大きさ】 サイズはヤマハのフレンチホルンがピッタリ。
巻きの大きいナチュラルホルンとウィンナホルンは少し窮屈ですが、何とか入るそうです。
【重量】 クルークケースの目方ぶん、少し重く感じるとのこと。クルークケースを取り外せば普通の重量に感じるそうです。
【持ち運び】 縦置き、リュック形式、手提げ。ショルダー(肩掛け)は無し。
【その他】 ロゴ入りクロス1枚付属。クルーク袋9枚、長四角の袋、大中小各1枚、マウスピース2本入る袋ケース1個、
パーテーションクッションが3個。付属の小物には全てマジックテープが裏に縫い付けてあります。
↑ウィニーさん所有。入っているのは…。ヤマハのモダンホルンとウィンナホルン、そしてナチュラルホルン。
MBのナチュラルホルン用ケースです。さすがMBだけあって実用的な構造をしています。小型〜中型の楽器が色々と入るのは便利ですね。クッションの場所を移動できるのが便利です。ナチュラルかウィンナも吹いてモダンも吹くよ、という方には最適なケースではないでしょうか。使用者ご本人は非常に満足していらっしゃるとのことです。私もウィンナホルンを入手したら必要になるのでしょうかねぇ…。
スペインのBAGS社のケース。Thompson EditionにもOEM供給(たぶん)しているようです。作りは頑丈で、若干重いものの、なかなか信頼できるケースだと思います。国内の楽器店でも取り扱っているところが多いので、比較的入手しやすいケースです。価格はギャラックスとほぼ一緒。重量と大きさの面からギャラックスを購入する人が多いようですが、個人的にはBAGSの方が入れていて安心だと思います。
■ベルカット用ケース(1)
【材質】 調査中
【大きさ】 中型。
【重量】 不明。ちょっと重め。
【持ち運び】 リュック形式、ショルダー、手提げ。
【使い勝手】 背負った時にマウスパイプ側が左側に飛び出ること、そのせいでバランスが悪くなることがやや難点。
特徴はワンピース用と同様、丈夫でやや大きく、重めです。クッション部分が厚めで、大抵の楽器は入ると思います(Galaxの普通のケースに入らなかったリコキューンのB♭シングルも入りました)。
■ベルカット用ケース(2)
【材質】 グラスファイバー(ガラス繊維強化プラスチック)
【大きさ】 比較的小型。
【重量】 2.8kg(リュックストラップを外すと2.6kg)
H.F.KnopfのB-シングル(Fボーゲン付)を入れて5.0kg(写真)
同フルダブルを入れて5.4kg
【持ち運び】 リュック形式、手提げ、ショルダー(肩掛け)
リュックのストラップの片方に、付属の延長部分を付けて、ショルダーストラップにする仕様だが、
状況によって持ち替えたいため、ショルダーストラップは他のものを転用している(写真)
【使い勝手】
・手提げのグリップは持ちやすくて良い
・背負うとマウスパイプ部分が身体の幅からはみ出す(従来のBagsと同じ)
・背当て部分はメッシュなので、背中への不快な密着を防げる
・背当てのメッシュは全体がポケットだが、変形のため、譜面はほとんど入らない
(A4サイズはギリギリ入るが、エチュードなどは角が少しはみ出る)
・小物はほとんど入らない
マウスピース収容場所が本体に2本分、その他に小さなメッシュのポーチ(マジックテープ付き)が付属
・ファスナーは3桁のナンバーロック付 き
【総合評価】
楽器単体で持つなら、軽くてコンパクトなので、たいへん良いです。重い場合は、両肩に重さが均等に掛かるリュック形式が楽だと思いますが、これならショルダーまたは手提げが苦にならないようです。
ただし、譜面やミュート、3つ以上のマウ スピースなどは別に持つ必要があります。なおオイル類はポーチをクロスでくるんでベルの中に入れられます。
2007年頃から入荷が始まった新型ケース。
楽器は
H.F.KnopfのBシングル(Fボーゲン付)。
■ワンピース用ケース
【材質】 調査中
【大きさ】 比較的大型。
【重量】 3.0kg(キューンを入れて5.6kg) 参考:キューンのハードケースは2.6kg
【持ち運び】 リュック形式、手提げ、ショルダー(肩掛け)。
↑当サイト管理者所有。入っているのはRicco Kühn W2931。
非常に頑丈。しっかりした作りです。リコキューンは巻きが大きいのですが、何とか入ります。重量は結構あり重いですが、これ一個で保管と持ち運びに使えます。価格はギャラックスと同じ程度です。
オーストリアのザルツブルグやドイツのミュンヘンから近いバートライヘンハルという街にあるTONART社のブランド「CARDCASE」。最近、日本でもユーザーが増えてきました。TONART社では上記スペインBAGS社で生産することにより、安価で高品質のケースを供給しています。
【ケースデザイン】 オペラの夜
【大きさ】 中型〜大型
【重量】 3.1Kg(楽器なし)、5.5Kg(楽器あり)
【持ち運び】 リュック形式、手提げ
【使い勝手】 楽譜入れが大きく余裕があるため使いやすい。ミュートを入れるスペースと、チューナーやオイルなどが入る小物入れがある。
米国カリフォルニア州にあるメーカー。肉厚のクッションによって楽器を保護する仕組み。かなり容量が多く、大型の楽器が入ります。ただしクッション部が多いため、最近のケースが材質や構造面で軽量化、コンパクト化を図っているのを考えると、1世代前の構造といえるかもしれません。なお、ベル収納部分はコーン・ホルトン・アレキサンダーのベルリングに合わせて作られているため、ヤマハや細ベルタイプのベルは改造が必要とのことです。
■ベルカット用セミハードケース
【材質】 調査中
【大きさ】 大型。
【重量】 4kg程度。
【持ち運び】 リュック形式、手提げ。
↑猫屋敷の主様所有。入っているのはAlexander 310MB。
背面に楽譜、手前に小物が入りますが、内部には一切小物が入りません。楽器の出し入れは、ケース自体が大型なので比較的簡単です。反面、アレキサンダー103などの小型の楽器はホールドが弱まるかもしれません。
■ワンピース用セミハードケース
↑猫屋敷の主様所有。入っているのはAlexander 310MB。
比較的大柄な楽器向け。コーン8Dが基準ではないか、とのこと。外見も見るからに大きそうです…。
■ウルトラケース
日本で最もユーザーが多いと思われるケース。メーカー(企画)は日本のようですが、製造は台湾or中国とのことですが詳細は不明です。MBのMB-1のコピー製品とされています。以前は硬質グラスファイバー製、最近はカーボン製で、全体としてはそれなりの強度を保っています。アレキサンダー103などの小型の楽器なら、価格面からも手ごろと思われます。ただし大型の楽器は入らないので、無理に押し込むと楽器が歪む恐れがあります。かならず購入前に楽器を持って行って、入れて確かめましょう。なお、MBと異なり緩衝材のスペースがほとんどないため、もし強い衝撃が加わると楽器本体にまでダメージが行く可能性があります。注意が必要です。
【材質】 カーボン製(旧型は硬質グラスファイバー製)
【大きさ】 縦約40cm×横約45cm、小型・軽量・コンパクト
【重量】 2.3kg
【持ち運び】 手提げ・ショルダー&リュック式(リュック・ショルダー共ストラップ(取り外し可)
ベルカット用。内部に三角の小物入れ、ケース前面に小物入れ(ファスナー付)、背面にもファスナー付の収納部があり譜面なども入ります。ベル収納部のクッションはマジックテープでベルに合わせて移動できます。一般的には、音大生などは最初GALAX製品を使い、大体2〜3年でガタが来てMBに買い換えるとのこと。アマチュアならもうちょっと長期間使えると思います。しかし次第に布が破れたりジッパーが壊れたりしています。
米国コロラド州デンバーに住む ドナ・アルティエリさんがプロデュース、製作しているバッグ。ハンドメイドで超軽量なのが特徴です。非常にソフトで、ぱっと見、何かあったら危険な感じ。しかし、フワフワなので、空気でショックを緩和するイメージでしょうか。ちょっとしたぶつけ方ならケースの空気がショックを吸収してくれそうです。こういう考え方もありかもしれません。
ホルン奏者のデイヴィッド・トンプソン氏がプロデュースしているブランド。肉厚のクッションで「クッションにうずめる」ような感覚があり、安心感があるようです。GALAXなどと比べるとちょっと重めだそうです。トンプソンエディションのバッグは、前述したスペインBAGS社で製造しています。したがって仕様も同様であるようです。
【材質】 BAGSと同様
【大きさ】 BAGSと同様
【重量】 BAGSと同様
【持ち運び】 リュック形式、手提げ、ショルダー(肩掛け)。
ひとみんさん所有。入っている楽器はおそらくYHR567GDB。アクセサリがかわいいですね。
ベルカット用ケースです。マウスピースが2本収納できます。小物入れがベル収納側のフタ裏についているほか、背面に楽譜が入ります。
米国カリフォルニア州ペタルマにあるメーカー。
ハンスホイヤーブランドを抱えるドイツの総合楽器メーカーの製品。
クロアチア製のカーボンファイバーのケース。各種のカラーから選ぶことができ、色鮮やかでカッコイイケースです。しかし高い!高いったら高い!管楽器用ケースよりも、ヴァイオリンなど弦楽器用ケースで有名です。
【重量】 2.0kg
イーストマン・ミュージック・カンパニーの製品が、流通経路により、C.C.Shiny と Eastman (イーストマン) の両方の名前を持っているようです。もともとワンピースのみのラインナップでしたが、最近はベルカット用モデルも登場しました。コストパフォーマンスはなかなか。
ただしケース自体の強度は少し不安です。またケースは比較的小型なので、クノッフタイプの楽器(ハンスホイヤー、リコキューンなど)は入らないことが多いので注意してください。
海外製と思われるケースです。ブランドを表すラベルも何も無いため、詳細の把握が難しい状態です。私の周囲にも何人か使っている方がいます。セミハードケースに分類されますが、私は構造的にはソフトケースとセミハードケースの中間に位置すると思っています。軽量で非常に使いやすくコストパフォーマンスも良いケースです。ただし強い力が加わった際には、柔らかいのでケース自体が変形する傾向があるように思います
【材質】 ナイロン、カラーは青、赤、緑、黒、茶から
【大きさ】 大きめ。縦が40cm、横が50cm程度。内径は35cm程度。
【重量】 1.6kg(楽器込みで4.1kg)
【持ち運び】 リュック形式、手提げ、ショルダー。
リコキューン使いのしすたーさんご提供。
内部は小物を入れるスペースはありません。ケースの外側に三角形の小物入れ付き。マウスピースは1本収納可能。パーテーションクッション付き。クッションの裏にはテープが付いており、ケース内部に沿わせて貼り付けるだけです。かなり大きな巻きのフレンチホルンまで収納でき、取っ手も腕が通せるくらいの余裕があります。付属のリュックベルトを使用することでリュック式にして背負うこともでき非常に便利です。
■GigBag JW9085
【材質】
【大きさ】 ややゴツめ
【重量】 約4.0kg
ギャラックス、MBに比べるとややゴツめの印象 リュックにしたときの背中の部分に楽譜を収納できます。小物類はほとんど収納できない状態とのこと。ストラップをつければショルダーにできます。
準備中
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